
Rain Konno | 境界の外側
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見つかった瞬間、物語になる。 見つからなければ、何も始まらない。 ——異世界アイドル☆パラレルパレード 召喚▶︎ https://t.co/KzKk7ydTp5
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異世界アイドル☆パラレルパレード NEO AKIBA OBSERVATION LOG 1-32 ― 未検出 ― 小説の断片が発見された。 観測局第四監視室には換気扇の音だけが響いていた。 机の隅には缶コーヒーが横倒しになっている。底には黒い液体が少しだけ残り、乾きかけた輪が机の表面に広がっていた。機械油の匂いは消えず、観測炉から送られてくる熱が部屋の空気を僅かに暖めている。 少女は画面を見る。 『管理者信号 未検出』 確認キーを押す。表示は変わらない。もう一度押す。それでも変わらない。少女は指を止める。数秒だけ画面を見つめ、再びキーへ触れる。 変わらない。 少女は隣のモニターへ視線を移した。通信ログ。観測塔。時刻表示。何度も見慣れた画面が並んでいる。 異常は見当たらない。 少女は椅子へ深く座り直す。机の上のペンを手に取ると、報告書作成画面を開いた。件名を入力する。数文字だけ表示される。手が止まる。換気扇が回る。 少女は入力欄を見つめる。 やがて全て消した。 数秒後、再び同じ画面を開く。 今度は何も入力しない。 机の隅には古い通行証が置かれていた。角だけが白く擦れている。少女は視線を向けるが、手には取らない。すぐに画面へ視線を戻した。 カン。 部屋の隅で工具箱が閉じられる。 少女は振り返る。 第五層観測炉整備主任の男が立ち上がっていた。作業着の袖には黒い油汚れが残り、工具箱の角は長い年月で丸く削れている。男は留め金を親指で押し込み、画面を一瞥した。 「へえ」 少女は何も言わない。 男は煙草を咥える。ポケットを探る。ライターが見つからない。煙草を戻す。 「ほう」 カツ。 小さな音がした。 少女は自分の手を見る。握ったペンの先が机に当たっていた。換気扇は回り続けている。男は画面を見る。少女も画面を見る。 数秒。 誰も何も言わない。 やがて少女は画面を指差した。 「ほう、ではありません」 男は黙ったまま表示を見つめる。 「そうか」 それだけ言うと工具箱を持ち直した。 「どちらへ?」 少女が問う。 男は歩き出す。 「仕事だ」 男は振り返らない。 扉が開く。 第五層から流れ込んだ暖かい空気が監視室を撫でた。 扉が閉まる。 再び換気扇だけが回っている。 少女は画面を見る。報告書作成画面は開いたままだった。入力欄は空白のまま。 観測炉の低い唸りが壁の向こうから聞こえてくる。机の隅で缶コーヒーが転がる。換気扇は回り続けていた。 『管理者信号 未検出』
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異世界アイドル☆パラレルパレード NEO AKIBA OBSERVATION LOG 31 ― 終わらなかった祈り ― 小説の断片が発見された。 決まった時間になると、ネオアキバは静かになる。 第五層を巡る運搬列車は速度を落とし、市場の呼び声は途絶える。工房の槌音は止み、地下都市を満たしていた喧騒は少しずつ遠ざかっていく。誰も呼ばない。誰も命じない。それでも人々は歩き出す。祖父がそうしたように。その祖父がそうしたように。さらに遠い昔の誰かがそうしたように。ただ、それが当たり前だった。 雨は降り続いている。 古い鉄骨を叩く音。遠くで唸り続ける観測炉。人々は広場へ向かう。 そして。 次に気付いた時には、人々は広場に立っていた。 雨は降っている。観測炉は唸っている。広場を埋める人々も変わらない。いつも通りだった。そのはずだった。 それなのに。 誰も帰れなかった。 市場へ戻らなければならない者がいた。工房へ戻らなければならない者がいた。家族が待っている者もいた。それでも、誰一人として足を動かせなかった。 長い時間が過ぎる。 誰も話さない。誰も顔を見合わせない。ただ静かに立ち尽くしていた。やがて一人が歩き出す。また一人。さらに一人。人々は静かに広場を後にしていく。 その時だった。 気付けば頬を濡らしていた。 最初に涙を流した者が誰だったのかは分からない。気付けば多くの者が、同じように頬を濡らしていた。 翌日、市場は開いた。工房は動いた。運搬列車は第五層を巡った。 誰も昨日の話をしなかった。 雨は降り続いていた。
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