Loading video...

Video Failed to Load

Go Home

【ドライバー紹介】 ブラックソーン所属の拳闘士、ハリエット(CV #鵜殿麻由)。 幼い日の衝動が導いた先は、地下から公式リングへと続くボクシングの道だった。 災厄の轟音を前に、彼女もまた決意する——拳を振るい続けることで未来を切り拓くのだ。 「ほっほ…お前がナビゲーター? 頑丈そうだな。ボクの拳、試したいか?」 #ハツリバ #健全系RPG #巨大娘 #メカ少女

23,325 views • 11 months ago •via X (Twitter)

0 Comments

No comments available

Comments from the original post will appear here

Related Videos

異世界アイドル☆パラレルパレード NEO AKIBA ARCHIVE LOG R-20 ―船底― 船底に、時間の感覚はなかった。 昼も夜も、光では分からない。ただ機関の唸りが、腹の底に響く低い痛みとして続いているだけだった。 空気は湿り、鉄と油と、微かな死臭に似た匂いが混じっていた。誰かが以前ここで死んだのか、それとも運ばれてきた荷が腐っていたのか、確かめる気にはなれなかった。 グンソは膝を抱え、目を閉じていた。 眠っているわけではない。 眠れば、あの音を忘れてしまう気がした。 一度目。 二度目。 そして、間延びした三度目。 耳の奥で、その音は今も鳴っている。骨に響くような、鈍い衝撃音。あれが何だったのか、グンソは考えないようにしていた。考えれば、想像してしまう。 想像すれば、たぶん壊れる。 その数を、指の関節で数えていた。爪が掌に食い込んでいることに、しばらく気づかなかった。 「……何を数えてる」 ヘジュの声だった。掠れて、疲れきっている。 グンソは答えなかった。 「音か」 ヘジュは、それ以上聞かなかった。聞いても、答えが誰の救いにもならないことを知っていた。 暗闇の中で、五人はそれぞれの姿勢を保っていた。ソンミンは扉に背をつけ、刃物の柄に手をかけたまま動かない。ドンチョルは膝に顔を伏せ、時折、喉の奥で押し殺した音を漏らした。泣いているのか、それとも吐き気を堪えているのか、誰も確かめなかった。テジュンは記録片を握ったまま、指の皮が擦り切れるほど強く握り続けていた。 誰も、故郷の話をしなかった。 話せば、戻りたくなる。 戻れば、今度は自分の番になる。 だから、誰も口を開かなかった。沈黙は五人を守る最後の壁だった。 「……テジュン」 長い沈黙の後、ドンチョルが言った。声に張りがなかった。 「その紙、まだ持ってるのか」 テジュンは答える代わりに、握った拳を少しだけ開いた。 焼け焦げた記録片。端は炭化し、触れるだけで崩れそうだった。かろうじて読めるのは、消えかけた「ソナ」という二文字だけ。それ以外の文字は、熱で歪んで判読できない。 「捨てろとは言わない」 ドンチョルが目を伏せた。 「ただ、それを見るたび、俺たちがまだ何かを背負ってるんだと分かる」 「重いか」 「軽い方が、おかしいだろう」 「軽くなったら、それこそ終わりだ」 テジュンが低く言った。 「忘れた瞬間、俺たちはあいつらと同じになる」 誰も、その言葉を否定しなかった。 船体が、大きく傾いた。 外洋に出たのだと、誰かが呟いた。壁を伝う振動が変わり、機関の音が一段低く沈んだ。それからどれほどの間、その振動が続いたのか、誰も正確には言えない。世界は、故郷の外へ出た者が思うより、はるかに大きかった。 グンソは膝の間に顔を埋めた。 無窮花の押し花は、外套の裏地に縫い付けてある。潰さないように。失わないように。指先で、その硬い感触を確かめる。花弁はとうに乾き、触れるたびに崩れそうな脆さを保っていた。それでも、まだそこにある。 「兄さん、これ、押し花にしたの」 「帰る場所を、忘れないように」 あの時のソナの声を、グンソはまだ覚えている。震えていて、それでも笑おうとしていた声。 だが今、故郷はもう帰る場所ではない。 帰れば、殺される。あるいは、殺されるより先に、存在ごと消される。 名簿には、五人分の特徴だけが載っていた。 顔写真もなく、名前もなく。ただ身長、瘦せ型、逃走経路の推定、目撃時の服装。 存在しなかったことにされた人間が、存在しなかったことにされた船で、地図にすら残らない街へ向かっている。 生きているのに、記録から消されている。 それは、死ぬことよりも静かで、死ぬことよりも長く続く消え方だった。 「……テジュン」 グンソが、初めて自分から口を開いた。声が掠れていた。 「アルトリウスって、本当にあるのか」 「積荷票にはあった」 「地図にはない」 「地図が古いだけかもしれない」 テジュンの声には、確信がなかった。それでも、その言葉にすがるしかなかった。縋る場所がなければ、この暗闇の中で、五人は自分たちが本当に存在しているのかすら疑い始めていた。 どれだけ進んだのか、誰にも分からなかった。 食料は幾度も尽きかけ、そのたびに甲板の誰かがどこかで調達してきた。水も、燃料も、同じだった。積荷票に記された行き先はひとつなのに、船は幾つもの港に立ち寄り、また離れた。地図にない土地、灯継ぎの噂だけが残る土地、名前すら伝わっていない土地。世界は、グンソが思っていたよりも遥かに広かった。故郷から一歩も出たことのなかった頃には、想像もできない広さだった。 船底の暗闇は、時間の感覚を等しく腐らせていく。日数を数えることを、いつからか誰もしなくなった。数えても意味がないほど、長かった。 ただ、機関の音だけが、暗闇の中でずっと鳴り続けていた。何日も、何十日も。 一度、遠くで何かが軋む音がした。ソンミンが刃物の柄を握り直し、全員が息を止めた。 それは船体の継ぎ目が軋んだだけだった。誰も、それを声に出して確かめようとはしなかった。 そんな夜が、何度も繰り返された後―― 甲板の上から、誰かの声が響いた。くぐもって、遠く、それでも確かに聞こえた。 「見えたぞ」 その一言に、五人は同時に顔を上げた。 「灯りだ……街の灯りが、見える」 グンソは、狭い隙間に顔を押し付けた。錆びた金属の縁が頬を切ったが、痛みは感じなかった。 黒く濁った空の下、遠くに、青紫の光が滲んでいた。 一つではない。 無数の灯りが、まるで水面に映る星のように、連なって光っていた。 それは、故郷にあったどの灯りとも違っていた。 故郷の灯りは、暖かく、生活の匂いがした。この灯りは違う。冷たく、静かで、まるで誰かが息を潜めて灯し続けているような、そんな光だった。 ネオンでも、松明でもない。 祈りに似た、灯りだった。 「あれが……」 ドンチョルが息を呑んだ。目の縁が赤く濡れていた。 テジュンが、震える声で言った。 「あれが、アルトリウスか」 誰も答えられなかった。 だが、その光を見た瞬間、グンソの中で何かが冷たく凝固した。 存在を消された自分たちが、それでも進んだ先に、灯りがあった。 名前を失っても、灯りは消えていない。 それが希望なのか、それとも次に消される場所なのか、グンソには判断できなかった。この世界では、優しく見えるものほど、後で牙を剥くことを、もう嫌というほど知っていた。 グンソは、狭い隙間の水たまりに映った自分の顔を見た。 何ヶ月も梳かれていない黒髪が、潮を吸って束になり、頬に張り付いている。無精髭が伸び、頬はこけ、目の下には濃い影が沈んでいた。故郷を出た時の自分とは、もう別人のようだった。 それでも―― グンソは、外套の内側の押し花にそっと触れた。乾いた花弁が、指先でわずかに崩れる感触があった。 「……着いたら」 グンソが呟いた。声に、初めて何かが戻っていた。怒りに似た、何か。 「ここで、また名前を取り戻す」 ソンミンが、初めて小さく笑った。乾いた、痛みを堪えるような笑い方だった。 「取り戻すためにここまで来たんだろう」 「ムジンの分も」 ドンチョルが呟いた。 誰も、それに答えなかった。答える必要はなかった。 船は、青紫の灯りへ向かって進み続けた。 暗い海の向こうに、まだ誰も知らない街が――五人がまだ知らない何かを内側に隠した街が――静かに待っていた。 機関の音が、一段と深く鳴った。 まるで、船そのものが、これから起きることを知っていて、それでも進むしかないと諦めたかのように。

Rain Konno | 境界の外側

41,855 views • 1 month ago

なぜAdoが好きなのか 💙 – 第3週 3⃣ 彼女のダンス ちょっと変に聞こえるかもしれないけれど、時々、私はAdoのコンサートに行く理由が「彼女の動きを見るため」になっている気がする。💃 もちろん歌を聴くためでもある――彼女の声こそがメインイベントだから――でも、彼女の身体が音楽と同じ物語を語るその瞬間を目撃するためでもある。私にとって、それは彼女のライブで最も魅力的な部分のひとつになっている。🤩 動きはどんなステージパフォーマンスにおいても重要な要素だ。多くのアーティストにとって、それは音楽を引き立て、エネルギーを加え、観客とのつながりを作る。 でも、Adoの場合、それ以上の意味を持っている。 シルエットでパフォーマンスし、顔を見せず、素顔や本当の姿にある程度の謎を保ち続ける彼女にとって、ステージでの動きは、観客である私たちが読み取れる数少ない「視覚的な言語」のひとつになるのだ。💛 Adoは最初から自信のある動きをしていたわけではない。 初期のコンサートでは、ジェスチャーは小さく、足取りも慎重だった。 彼女はまだ、どうやってステージを自分のものにするのか――パフォーマンスの一部として身体をどう活かすのか――を模索しているように見えた。 その雰囲気を壊さずにどう動くか、まだ探っていたのだ。 彼女の焦点は明らかに歌声にあり、それは成功していたけれど、どこか抑えられているように感じられた。 そして、それこそが、彼女の変化をこれほどまでに魅力的にしている理由だ。😍 時間とともに――コンサートを重ねるごとに――Adoはシンガーとしてだけでなく、パフォーマーとしても成長していった。💃 彼女の動きはより意図的に、より表現豊かになった。 マイクの前にただ立つのではなく、歩き、回り、腕で表情をつけ、歌の感情に全身で寄り添うようになった。 足を踏み鳴らし、ゆっくり回り、ジャンプし、肩を揺らす。 手を上げたり、首を傾けたりする仕草には、まるで演技のような演劇性すら感じられる――まるでその曲のキャラクターになっているかのようだ。💙💙 彼女のダンスは今でも、訓練を受けたダンサーのような洗練された振り付けではない――そしてそれこそが、リアルに感じられる理由だ。 そこには作られた完璧さがない。台本通りのルーティンもない。 それは生々しく、本能的で、感情が頭より先に身体を動かしているように見える。 そして私にとって、そのようなパフォーマンスは、完璧なステップよりもずっと強い力を持っている。🤩🤩 今のAdoのパフォーマンスを見ると、私はもうただの「歌手」には見えない。 彼女は持てるすべてのツール――声、影、シルエット、動き――を使って、人々の心により深く届こうとするストーリーテラーだ。 だから私は、彼女のパフォーマンスを見るたびに、完全に惹き込まれてしまう。音楽だけでなく、彼女のダンスにも。💃💃 そして、それがAdoを好きな理由のひとつでもある。💙💙💙 「ただひとつの夢 誰にも奪えない 私が消え去っても 言葉は響き続ける どこまでも あなたへ 届くように書くわ 大海原を駆ける 新しい風になれ」 Ado 💙

Ado No Uta

20,985 views • 1 year ago

最近、ハノイの治安が悪くなってきているのかと感じる出来事が続いています この間は、お店の商品をいきなり掴んで、そのまま自転車で逃げ出そうとしたおじさんがいました そして今日は、かなり怪しい女性が来店しました その方は「公安勤めです」と名乗ったものの、自分の名前は明かさず しかも、これだけ暑い中で入店しても、日除けの服、手袋、サングラス、マスク、ヘルメットを一切外しませんでした その時点で、スタッフも少し怪しいと感じたようです 店内でたくさんの商品を手に取ると、袋に入れるように要求し、 「財布を忘れたから、15分後にお金を持ってくるね」 と言って、支払い前の商品をそのまま持って出ようとしました スタッフがお支払い前の商品は持って行かないでくださいと伝えると、突然大きな声で、 「公安勤めの私が信用できないの!?すぐ持ってくると言ってるでしょ!」 と威圧するように言ってきました スタッフが説得すると最終的には、 「じゃあ15分後に戻ってくるから、商品は置いておいて」 と言って帰りましたが、結局その後、戻ってくることはありませんでした その後、防犯カメラを確認してみると、バイクのナンバープレートが見えないように、野菜の袋を吊るして隠していました 少なくとも、公安ではないですね また、スタッフを安心させるためなのか、 「以前ここでキュウリを買ったよ」 「Thuyさんの紹介で来た」 ※Thuyさんはベトナム人女性に多い名前 とも話していたようです。 ちなみに私たちは、顔見知りのお客様や、これまでに何度も購入実績のあるお客様には、 「お支払いは後で大丈夫ですので、先にお持ちください」 と対応することもあります ただ、今回は顔も名前も分からず、支払い前の商品をそのまま持ち出そうとしていたため、スタッフが止めてくれました 今回は、はっきり伝えられるスタッフが対応してくれたので良かったのですが、もし気弱なスタッフだけだったら、そのまま持って行かれていたかもしれません 小さいとはいえ店舗を運営している立場としては、以前より少し注意が必要になってきているのかもしれないと感じています 皆様もどうぞお気をつけください

Sase🇻🇳ハノイ ベトナムで野菜販売と浄水器事業展開

10,621 views • 3 months ago

「なぜ、九州でこの冬を続けることができたのか」 本日をもちまして、くじゅうスキー場は 2025〜2026シーズンの営業を終了いたします。 今シーズン、くじゅうスキー場に足を運んでくださった皆さま。 そして遠くから応援してくださった皆さま。 本当にありがとうございました。 九州でスキー場を続けるということ。 それは、決して当たり前ではありません。 気温、天候、コンディション。 すべてが毎日変わる中で、 「今日のベスト」を積み重ね続けてきました。 思い通りにいかない日もありました。 それでも、このゲレンデで過ごす時間を 少しでも楽しんでいただけるように。 ただひたすらに、冬を守り続けたシーズンでした。 そして今シーズン、 くじゅうスキー場は30周年という節目を迎えました。 この場所に訪れてくださる皆さまのおかげで、 この景色を守り続けることができています。 九州なのに雪がある。 その一言の裏側には、 簡単ではない現実と、それでもやり続ける覚悟があります。 本日でシーズンは終了となりますが、 くじゅうスキー場にとっては、ここが終わりではありません。 明日からは、 来シーズンをさらに進化させるためのスタートです。 30年続けてきたからこそ、 ここから先は、さらに進化していきます。 もっとワクワクする場所へ。 もっと誇れるスキー場へ。 私たちは、まだまだ進化し続けます。 くじゅうスキー場は、 皆さまに支えられて続いている場所です。 本当にありがとうございました。 そしてまた次の冬、この場所でお会いしましょう。

くじゅうスキー場|九州唯一【公式】

34,449 views • 5 months ago

異世界アイドル☆パラレルパレード NEO AKIBA OBSERVATION LOG 2-09 ― 星は魚だった ― 翌日、少女は春じいを図書館へ連れて行くつもりだった。 「春じいの家、行く。図書館も行く。」 あかり亭の戸を飛び出し、少女は石畳を三歩だけ進んだ。 その時、灯町広場の真ん中に、巡灯神輿が見えた。 「でっっっか!!」 春じいの家も、図書館の新刊も、待っている春じい本人のことまで、少女の頭からきれいに消えた。 巡灯神輿(じゅんとうみこし)は、灯町祭の夜に店々が持ち寄った小さな灯器を吊り、決まった道を町じゅう巡る大きな神輿だった。太い担ぎ梁の上には黒い灯環が重なり、まだ火の入っていない灯りが、作業灯を受けて鈍く光っている。 高い天蓋の向こうでは、雨が排水路へ落ちる音だけが遠く続いていた。 父たちは神輿の横で飾り紐を結んでいた。少女は作業用の縄をくぐろうとしたが、母に前掛けの首紐をつままれる。 「入らない。」 「見るだけ。」 「見るだけの顔じゃない。」 少女は神輿の正面まで走り、黒い飾り台を指さした。 「ここ、なんか足りない。」 「何が?」 少女はしばらく見上げた。 「きらきら!」 父は笑って、広場の隅に置かれた木箱を顎で指した。 「自分で作れるなら、付けてもいいぞ。」 「作れる。あたし天才だから。」 木箱の中には、細長い光る帯が何本も入っていた。反光帯(はんこうたい)。古くなった店灯の内側に貼ってあった反射膜を細く切った、灯町祭の飾り紐だ。 灯りを受けると、白くなったり、青くなったりする。去年の子供の名前や油の染み、焦げた補修跡まで、そのまま残っていた。 「うわ、いっぱい。」 「一枚ずつ使うんだぞ。」 母が言った時には、少女はもう両腕いっぱいに抱えていた。 「いっぱいの一枚ずつ。」 「それは一枚ずつじゃない。」 少女は石畳へぺたんと座り、反光帯をねじって、折って、細い針金へ巻いていく。星を作るつもりだったらしい。 けれど帯は言うことを聞かなかった。角を作ればへなへなと垂れ、一本は髪へ絡み、もう一本は鼻水へくっついた。 「取れない。」 「まず鼻水を取る。」 母が布を出すと、少女は反光帯の方を差し出した。 「こっち。」 「先に顔。」 魚屋のおじさんが、焼き網の向こうからのぞき込んだ。 「……魚か?」 「星。」 「魚に見えるな。」 「星なの。」 「かなり魚だな。」 少女は、ぐちゃぐちゃの反光帯を抱えたまま固まった。 「星なのに……。」 少しだけ考える。 「病んだ〜……。」 その時、広場の換気管が低く鳴った。風が抜け、ほどけた反光帯が石畳の上をするすると逃げていく。 「あっ、逃げた!」 左足だけ白い靴下を履いた少女は、素足の右足をぺたぺた鳴らして追いかけた。帯は排水溝の手前でくるりと回り、ふわりと持ち上がる。 「待てぇぇぇ!」 少女は勢いよく腹ばいになり、素足で帯の端を踏んだ。 「取った!」 「素足で踏むな!」 父の声より先に、少女は帯を掲げていた。髪には二本。前掛けには三本。鼻の下には銀色の帯が一本、ぺたりと張り付いている。 修理屋のおばちゃんが、笑いをこらえながら少女の隣へしゃがんだ。 「星にするなら、折りすぎない方がいいよ。」 「折りすぎた?」 「かなり。」 少女は、魚みたいな星を見た。 それから新しい反光帯を一本だけ取る。 「じゃあ、折らない。」 「それで星になるかな。」 「なる。あたし天才だから。」 少女は新しい帯を両手でまっすぐ持った。作業灯を拾った帯が、指のあいだで白く光る。 巡灯神輿のいちばん前には、まだ何も付いていない飾り台が残っていた。 その頃、春じいは家の前で、水筒を持ったまま待っていた。

Rain Konno | 境界の外側

16,151 views • 2 months ago

引退のご報告 本日、恵良敏彦はプロボクシングを引退することを決意いたしました。 まずは、これまで支えてくださった皆様、応援してくださった皆様に心より感謝申し上げます。 15歳でボクシングと出会い、自身の弱さと向き合い、そして父を超えたいという想いから歩み始めた競技人生でした。 最初はただ拳を振り回すだけの喧嘩ボクシングでしたが、地元の喧嘩自慢たちとリングで拳を交え、鼻骨骨折など当たり前の日々を過ごしました。 やがてプロとなり、キャリア中盤から終盤にかけては世界各国へ呼んでいただき、多くのタイトル戦にも恵まれました。 JBCデビュー戦を59秒KOで飾ったこと。 ハードワークの末に重度のヘルニアを患い、約20年にわたり思うようにボクシングができなかったこと。 40歳を過ぎて再びリングに戻り、海外で再出発したこと。 2000人以上の敵地の観客の中でのインドネシアのリング。 1万人を超える大声援の中をリングに向かい歩いたマレーシア WBAアジアタイトル戦では靭帯を損傷しながらも戦い抜き、ドローとなったこと。 そしてリハビリ中にも関わらず、中二日で8回戦を戦い、そのままWBAタイトル戦へ挑み連勝したこと。 振り返れば、数え切れないほどの思い出があります。 私がボクシングを始めた時に掲げた目標はただ一つ。 「やり切ること」 キャリア終盤にはヘルニア手術、眼窩底骨折、そして外傷性白内障の手術も経験しました。 それでも最後の最後まで、自分にできるところまでやってやろう。 そう思い続け、本日を迎えました。 年齢を理由に笑われることがあっても、会長や山口トレーナーと共に真剣に世界タイトルを目指し続けました。 また、日本で最後を迎えたいという想いの中で、かつて反発していた日本ボクシングコミッション、日本ボクシング協会にも受け入れていただきました。 安河内事務局長からいただいた 「挑戦することに意味がある」 という言葉は大きな財産です。 自身にとってボクシングとは人生そのものであり、人生の根幹にあるものです。 身体がボロボロになるまで戦いました。 そして36年間、自分自身に掲げた 「やり切る」 を貫くことができました。 本当に幸せなボクシング人生。 改めまして、支えてくださった全ての皆様に心より感謝申し上げます。 ありがとうございました。 これからは、海外で培ったプロモーターや世界のチャンピオンたちとの繋がりを活かし、日本ボクシング界の発展に少しでも貢献していきたいと思います。 最後に。 「揺るがない決意の先に未来はある。」 2026年6月9日 恵良敏彦

🇯🇵恵良敏彦 TOSHIHIKO ERA 零九参

78,753 views • 2 months ago

異世界アイドル☆パラレルパレード NEO AKIBA OBSERVATION LOG 2-08 ― 古書灯の図書館 後編 ― 一枚の古い貸出カードが、蜂蜜色の灯りを受けて静かに光っていた。 少女は、まだ気付いていなかった。 返本灯だけが、小さく一度だけ鳴いた。 ちりん。 「ん?」 少女が顔を上げる。返本灯は本棚の下を照らしたまま、細い脚をそろえて止まっていた。光の輪の端に、薄い板が一枚だけ見えている。 少女はしゃがみ込み、指先でそっと引っぱった。角が丸くなった、古い貸出カードだった。 「これなに?」 「昔の貸出カードですね。」 図書室のお姉さんが、受付台からゆっくり近づいてくる。カードには子供の字で名前が書かれ、その上には、少女が今日返した冒険小説と同じ題名が残っていた。 少女は読もうとして、少しだけ首をかしげる。 「はる……た?」 お姉さんはカードを見て、ふっと笑った。 「春じいが、子供の頃に使っていたカードですよ。」 「春じい!?」 少女はもう一度カードを見た。そこには、今の春じいが書く字とはまるで違う、丸くて小さな『春田』の文字が残っていた。 その一番下には、返却期限を九日過ぎたことを示す赤い判が残っていた。 延滞 九日。 少女はしばらく黙った。 それから、ゆっくり返本灯を見る。 「あたしより病んでる。」 「かなりですね。」 「九日も返さなかったの?」 「そうみたいです。」 「その間に、この本を読みたかった子がいたら困る。」 「そうですね。」 「じゃあ、春じいが悪い。」 「返し忘れたのは春じいですからね。」 少女は急に元気になった。 「今日、あかり亭で言う!」 「言わなくていいと思います。」 「春じい、本返さない不良だったって。」 「それは言いすぎです。」 返本灯が、足元で小さく揺れた。 ちりん。 灯りまで笑ったように見えた。 カードの裏には、もっと薄い字が残っていた。鉛筆で書かれた、少しだけ傾いた子供の文字。 ぼうけん たのしかった 少女は、声に出して読んだ。 「ぼうけん、たのしかった。」 「春じいが、自分で選んだ本だったのかもしれませんね。」 「春じいも、ぼうけん好きだったんだ。」 「春じいも、最初は子供でしたから。」 少女はカードと、自分が返した冒険小説を見比べた。春じいも昔、この棚の前で同じ本を抱えていたのかもしれない。 返すのを忘れて、誰かに怒られて、それでもまた新しい本を借りに来たのかもしれない。 「じゃあ春じいも、ここで迷子になった?」 「春じいは、あなたほどではなかったと思います。」 「あたしは迷子じゃない。探索。」 「そうでした。」 少女は胸を張った。 「春じいにも、明日新しい本借りようって言う。」 「春じいと一緒にですか?」 「うん。九日遅れた人には、あたしが教える。」 「頼もしいですね。」 「天才だから。」 返本灯が少女の前まで、とことこと歩いた。入口の方を向き、蜂蜜色の灯りを少しだけ明るくする。 少女はしゃがみ込んだ。 「明日もいる?」 返本灯は、首を傾けるように灯りを揺らした。 ちりん。 「よし。明日また来る。」 「走らないでくださいね。」 「速い早歩き!」 少女は前掛けを揺らしながら、図書室の出口へ向かった。蜂蜜色の灯りの下を、小さな足音が遠ざかっていく。 お姉さんは、返された冒険小説を低い棚のいつもの場所へ戻した。それから春じいの古い貸出カードの隣に、少女の返却記録をそっと重ねる。 木箱の中で、春じいが子供の頃に残したカードと、少女の一日遅れの記録が静かに並んだ。 明日の昼灯になれば、また誰かが新しい本を借りに来る。 古書灯図書館は、今日の一日遅れと、明日の約束を、蜂蜜色の灯りの下で静かに預かっていた。

Rain Konno | 境界の外側

10,939 views • 2 months ago

― まだ帰れない人達へ ― 動画制作を終えて、ふと思った。 異世界アイドル☆パラレルパレードを始めてから、ずっと分からなかったことがある。 なぜ自分はオタク達のことがこんなにも好きなのか。 なぜここまでパラパレに執着しているのか。 今日、その理由が少しだけ分かった気がした。 人は案外、自分が何を失ったのか覚えていない。 ただ生きている。 仕事をして。 学校へ行って。 恋をして。 歳を取って。 前へ進いているつもりでいる。 でも時々。 理由もなく昔を思い出す。 もう終わったはずなのに。 もう戻れないと分かっているのに。 夜中にふと目が覚める。 懐かしい曲を聴く。 昔の景色を見る。 名前も思い出せなくなった誰かを思い出す。 そして少しだけ苦しくなる。 俺にもあった。 昔、ある世界で生きていた。 MMOだ。 今の人から見れば、ただのゲームだったのかもしれない。 でも当時の俺には世界だった。 そこには毎日のように会う人がいた。 くだらない話をする人がいた。 笑う人がいた。 怒る人がいた。 明日も会えると思っていた。 来週も。 来年も。 ずっと。 でも違った。 ある日、一人来なくなった。 また一人来なくなった。 何かがあったわけじゃない。 喧嘩したわけでもない。 裏切られたわけでもない。 ただ時間が過ぎた。 ただ大人になった。 ただ世界が進んだ。 それだけだった。 それだけだったのに。 取り返しがつかなかった。 何年後かにログインしたことがある。 街は残っていた。 音楽も残っていた。 景色も残っていた。 何も変わっていなかった。 本当に何も変わっていなかった。 変わったのは、 そこにいる人達だけだった。 誰もいなかった。 その時、 少しだけ腹が立った。 世界にじゃない。 誰かにでもない。 ただ、 どうしてこんなことになったんだろうと思った。 あれだけ大切だったものが。 あれだけ本気だったものが。 あれだけ人生だったものが。 こんな風に終わるんだなと思った。 人生には、 最後だと知らなかった最後 がある。 最後の会話。 最後のログイン。 最後の帰り道。 最後の約束。 最後の笑い声。 でもその時、人は気付かない。 だからまた明日と言う。 また今度と言う。 そして二度と会えなくなる。 今でも時々考える。 あの日が最後だと知っていたら。 何か変わったんだろうか。 もっと話しただろうか。 もっと感謝を伝えただろうか。 たぶん。 それでも同じだった気もする。 でも。 それでも考えてしまう。 たぶんずっと。 ライブハウスにいると時々思う。 この人も、 何か置いてきたんだろうかって。 もう会えない誰かとか。 戻れない場所とか。 言えなかった言葉とか。 失くした夢とか。 そういうものを抱えたまま、 ここに来ているんだろうかって。 違うかもしれない。 でも時々そう思う。 だから好きなのかもしれない。 異世界アイドル☆パラレルパレードも。 ネオアキバも。 ただのアイドルや世界観だと思っていた。 でも違った。 たぶん。 あれは俺が置いてきたものだった。 言えなかった別れ。 失った仲間。 忘れたくなかった景色。 もう戻れない時間。 全部そこに入っていた。 帰りたいわけじゃない。 もう帰れないことくらい分かっている。 でも。 時々探してしまう。 あの日の続きを。 あの日失った何かを。 人生のどこかに置いてきた自分自身を。 だから作った。 パラパレを。 ネオアキバを。 魂の置き場所みたいなものが欲しかった。 もし今でも。 理由もなく昔を思い出す夜があるなら。 もし最後だと知らなかった最後があるなら。 もし人生のどこかに置いてきた自分自身がいるなら。 たぶん。 まだ帰れていないんだと思う。 俺もそうだから。 もしかしたら。 もう誰も覚えていないのかもしれない。 俺以外は。 それでもいい。 俺は覚えている。 忘れられなかったわけじゃない。 たぶん。 置いていけなかったんだと思う。

【公式】異世界アイドル☆パラレルパレード|パラパレ

30,668 views • 2 months ago