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#隻眼の残像(フラッシュバック) .*˚❅꧁ 大ヒット上映中 ꧂*❅·̩͙ ❯❯❯ ついに、開幕📡⋆͛ ❮️❮️❮️ 初登場時から隻眼だった敢助の過去には 一体何があったのか? 眠りの小五郎 ✘ 長野県警・大和敢助 一見接点のなさそうな二人を繋ぐ ┋眠っていた記憶(じけん)┋とは―― 衝撃を見逃すな!

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異世界アイドル☆パラレルパレード NEO AKIBA ARCHIVE LOG R-20 ―船底― 船底に、時間の感覚はなかった。 昼も夜も、光では分からない。ただ機関の唸りが、腹の底に響く低い痛みとして続いているだけだった。 空気は湿り、鉄と油と、微かな死臭に似た匂いが混じっていた。誰かが以前ここで死んだのか、それとも運ばれてきた荷が腐っていたのか、確かめる気にはなれなかった。 グンソは膝を抱え、目を閉じていた。 眠っているわけではない。 眠れば、あの音を忘れてしまう気がした。 一度目。 二度目。 そして、間延びした三度目。 耳の奥で、その音は今も鳴っている。骨に響くような、鈍い衝撃音。あれが何だったのか、グンソは考えないようにしていた。考えれば、想像してしまう。 想像すれば、たぶん壊れる。 その数を、指の関節で数えていた。爪が掌に食い込んでいることに、しばらく気づかなかった。 「……何を数えてる」 ヘジュの声だった。掠れて、疲れきっている。 グンソは答えなかった。 「音か」 ヘジュは、それ以上聞かなかった。聞いても、答えが誰の救いにもならないことを知っていた。 暗闇の中で、五人はそれぞれの姿勢を保っていた。ソンミンは扉に背をつけ、刃物の柄に手をかけたまま動かない。ドンチョルは膝に顔を伏せ、時折、喉の奥で押し殺した音を漏らした。泣いているのか、それとも吐き気を堪えているのか、誰も確かめなかった。テジュンは記録片を握ったまま、指の皮が擦り切れるほど強く握り続けていた。 誰も、故郷の話をしなかった。 話せば、戻りたくなる。 戻れば、今度は自分の番になる。 だから、誰も口を開かなかった。沈黙は五人を守る最後の壁だった。 「……テジュン」 長い沈黙の後、ドンチョルが言った。声に張りがなかった。 「その紙、まだ持ってるのか」 テジュンは答える代わりに、握った拳を少しだけ開いた。 焼け焦げた記録片。端は炭化し、触れるだけで崩れそうだった。かろうじて読めるのは、消えかけた「ソナ」という二文字だけ。それ以外の文字は、熱で歪んで判読できない。 「捨てろとは言わない」 ドンチョルが目を伏せた。 「ただ、それを見るたび、俺たちがまだ何かを背負ってるんだと分かる」 「重いか」 「軽い方が、おかしいだろう」 「軽くなったら、それこそ終わりだ」 テジュンが低く言った。 「忘れた瞬間、俺たちはあいつらと同じになる」 誰も、その言葉を否定しなかった。 船体が、大きく傾いた。 外洋に出たのだと、誰かが呟いた。壁を伝う振動が変わり、機関の音が一段低く沈んだ。それからどれほどの間、その振動が続いたのか、誰も正確には言えない。世界は、故郷の外へ出た者が思うより、はるかに大きかった。 グンソは膝の間に顔を埋めた。 無窮花の押し花は、外套の裏地に縫い付けてある。潰さないように。失わないように。指先で、その硬い感触を確かめる。花弁はとうに乾き、触れるたびに崩れそうな脆さを保っていた。それでも、まだそこにある。 「兄さん、これ、押し花にしたの」 「帰る場所を、忘れないように」 あの時のソナの声を、グンソはまだ覚えている。震えていて、それでも笑おうとしていた声。 だが今、故郷はもう帰る場所ではない。 帰れば、殺される。あるいは、殺されるより先に、存在ごと消される。 名簿には、五人分の特徴だけが載っていた。 顔写真もなく、名前もなく。ただ身長、瘦せ型、逃走経路の推定、目撃時の服装。 存在しなかったことにされた人間が、存在しなかったことにされた船で、地図にすら残らない街へ向かっている。 生きているのに、記録から消されている。 それは、死ぬことよりも静かで、死ぬことよりも長く続く消え方だった。 「……テジュン」 グンソが、初めて自分から口を開いた。声が掠れていた。 「アルトリウスって、本当にあるのか」 「積荷票にはあった」 「地図にはない」 「地図が古いだけかもしれない」 テジュンの声には、確信がなかった。それでも、その言葉にすがるしかなかった。縋る場所がなければ、この暗闇の中で、五人は自分たちが本当に存在しているのかすら疑い始めていた。 どれだけ進んだのか、誰にも分からなかった。 食料は幾度も尽きかけ、そのたびに甲板の誰かがどこかで調達してきた。水も、燃料も、同じだった。積荷票に記された行き先はひとつなのに、船は幾つもの港に立ち寄り、また離れた。地図にない土地、灯継ぎの噂だけが残る土地、名前すら伝わっていない土地。世界は、グンソが思っていたよりも遥かに広かった。故郷から一歩も出たことのなかった頃には、想像もできない広さだった。 船底の暗闇は、時間の感覚を等しく腐らせていく。日数を数えることを、いつからか誰もしなくなった。数えても意味がないほど、長かった。 ただ、機関の音だけが、暗闇の中でずっと鳴り続けていた。何日も、何十日も。 一度、遠くで何かが軋む音がした。ソンミンが刃物の柄を握り直し、全員が息を止めた。 それは船体の継ぎ目が軋んだだけだった。誰も、それを声に出して確かめようとはしなかった。 そんな夜が、何度も繰り返された後―― 甲板の上から、誰かの声が響いた。くぐもって、遠く、それでも確かに聞こえた。 「見えたぞ」 その一言に、五人は同時に顔を上げた。 「灯りだ……街の灯りが、見える」 グンソは、狭い隙間に顔を押し付けた。錆びた金属の縁が頬を切ったが、痛みは感じなかった。 黒く濁った空の下、遠くに、青紫の光が滲んでいた。 一つではない。 無数の灯りが、まるで水面に映る星のように、連なって光っていた。 それは、故郷にあったどの灯りとも違っていた。 故郷の灯りは、暖かく、生活の匂いがした。この灯りは違う。冷たく、静かで、まるで誰かが息を潜めて灯し続けているような、そんな光だった。 ネオンでも、松明でもない。 祈りに似た、灯りだった。 「あれが……」 ドンチョルが息を呑んだ。目の縁が赤く濡れていた。 テジュンが、震える声で言った。 「あれが、アルトリウスか」 誰も答えられなかった。 だが、その光を見た瞬間、グンソの中で何かが冷たく凝固した。 存在を消された自分たちが、それでも進んだ先に、灯りがあった。 名前を失っても、灯りは消えていない。 それが希望なのか、それとも次に消される場所なのか、グンソには判断できなかった。この世界では、優しく見えるものほど、後で牙を剥くことを、もう嫌というほど知っていた。 グンソは、狭い隙間の水たまりに映った自分の顔を見た。 何ヶ月も梳かれていない黒髪が、潮を吸って束になり、頬に張り付いている。無精髭が伸び、頬はこけ、目の下には濃い影が沈んでいた。故郷を出た時の自分とは、もう別人のようだった。 それでも―― グンソは、外套の内側の押し花にそっと触れた。乾いた花弁が、指先でわずかに崩れる感触があった。 「……着いたら」 グンソが呟いた。声に、初めて何かが戻っていた。怒りに似た、何か。 「ここで、また名前を取り戻す」 ソンミンが、初めて小さく笑った。乾いた、痛みを堪えるような笑い方だった。 「取り戻すためにここまで来たんだろう」 「ムジンの分も」 ドンチョルが呟いた。 誰も、それに答えなかった。答える必要はなかった。 船は、青紫の灯りへ向かって進み続けた。 暗い海の向こうに、まだ誰も知らない街が――五人がまだ知らない何かを内側に隠した街が――静かに待っていた。 機関の音が、一段と深く鳴った。 まるで、船そのものが、これから起きることを知っていて、それでも進むしかないと諦めたかのように。

Rain Konno | 境界の外側

40,670 次观看 • 22 天前

異世界アイドル☆パラレルパレード NEO AKIBA ARCHIVE LOG R-19 ―港へ― 地下水路の奥で、五人の足音が重なっていた。 誰も振り返らなかった。 背後から追手の声は聞こえない。銃声も、怒号もない。 だが、それは安全を意味していなかった。 ムジンが作った時間が、まだ残っているだけだ。その時間が尽きれば、追手はここまで来る。 「止まるな」 先頭を歩くソンミンが言った。 グンソは返事をしなかった。 耳の奥では、あの音がまだ鳴っている。 一度目。 二度目。 そして、遠くなった三度目。 ムジンがまだ立っているのか。 倒れたのか。 生きているのか。 もう、確かめることはできない。 グンソの胸元には、テジュンが拾った記録片があった。焼け焦げた金属片。その表面には、消されかけた名前が残っている。 ソナ。 名前を守った者たちが、自分たちの名前を隠して逃げている。 その矛盾が、グンソの胸を締めつけていた。 「……ムジンは、俺たちに生きろと言った」 グンソが呟いた。 「だから生きる」 ソンミンは前を見たまま答えた。 「名前を隠してでもか」 「捨てるんじゃない」 暗い水路に、ソンミンの声が落ちる。 「取り戻すために隠すんだ」 その先に、薄い光が見えた。 風の音。 潮の匂い。 遠くで鳴る汽笛。 港が近い。 だが、出口の手前でヘジュが足を止めた。 「待って」 五人は崩れた配管の陰へ身を寄せた。 地上から、複数の靴音が聞こえる。 一定の間隔。 乱れのない歩幅。 人間が歩いているというより、決められた巡回手順そのものが通過しているようだった。 「地下側は?」 「異常なし。逃亡者は港へ向かった可能性が高い」 「船渠側の照合を強化しろ。未登録者の乗船を確認した場合、現場判断で拘束して構わない」 「危険度判定は?」 「保留。対象の身元が確定していない」 「身元がないのではなく、記録がないだけだ」 乾いた声が答えた。 「記録がない人間は、存在しないのと同じだ」 靴音が遠ざかっていく。 それでも五人は動かなかった。 やがて、港の汽笛が鳴った。 ソンミンが手を上げる。 「今だ」 地上へ出た瞬間、港の照合灯が一度だけ点滅した。 青紫の光が、五人の姿をなぞる。 顔。 衣服。 人数。 歩行速度。 灯りは人間を照らしているのではなかった。通過したものを、数字と判定へ変えている。 「見られたか」 ドンチョルが囁いた。 「違う」 ヘジュが港の柱を見た。 「照合された」 柱の表面に、淡い文字が浮かんだ。 《未登録集団の通過を確認》 《構成人数:五》 《危険度判定:保留》 警報は鳴らなかった。 追手も現れなかった。 それでも、五人はすでに港のどこかへ残されていた。 「走るな」 ソンミンが言った。 「走れば、逃亡行動として確定される」 五人は歩いた。 追われている人間ほど、追われていないふりをしなければならない。 港の作業員たちは、五人を見ても見ないふりをした。視線を合わせない。足を止めない。余計なことを尋ねない。 見ないこともまた、この場所で生きるための手順だった。 積み上げられた木箱。鉄籠。浄化用鉱石の袋。壁面に並ぶ管理番号。 荷物にも、人間にも、行き先と扱いが定められている。 番号を持たない者だけが、静かに消される。 「船が必要だ」 テジュンが言った。 「正規の船には乗れない」 ヘジュが答える。 「なら、正規ではない船を探す」 五人は貨物の影を縫うように、港の奥へ進んだ。 途中、グンソの足が止まった。 掲示板に、捜索指名の紙が貼られていた。 顔写真はない。 名前もない。 ただ、五人分の特徴だけが記されている。 《反国家活動の疑い》 《武装逃亡者》 《発見時、直ちに通報せよ》 その紙に、ムジンの名はなかった。 グンソはしばらく掲示板を見つめた。 存在しなかったことにされている。 だが、ムジンは確かにそこにいた。 銃声の前に立ち、五人を逃がすために時間を残した。 名前がないことは、何も残さなかったという意味ではない。 「グンソ」 ソンミンが呼んだ。 グンソは掲示板から目を離し、歩き出した。 港の一番奥。 照合灯の届かない古い船渠に、一隻の貨物船が係留されていた。 船体は黒く汚れ、塗装は剥がれている。 船名は削り取られ、側面には古い水質調査船の刻印だけが残っていた。登録番号も消されている。 それでも、船尾の機関室からは低い振動が伝わってきた。 古い機械が、苦しそうに息をしている。 「人の気配がない」 ドンチョルが船内を覗き込んだ。 「荷下ろしの途中で離れたのかもしれない」 テジュンが船体脇の木箱を調べた。 その隙間に、破れかけた積荷票が挟まっている。 テジュンが引き抜いた。 紙面には、かろうじて文字が残っていた。 《搬送先――アルトリウス》 「アルトリウス……?」 ドンチョルが呟いた。 「知っているか」 テジュンが尋ねる。 誰も答えなかった。 聞いたことのない名前だった。 それが都市なのか、港なのか、国なのかすら分からない。地図のどこにあるのか。どれほど遠いのか。そこに何があるのか。 何一つ、分からない。 「この船は、どこへ行くんだ」 グンソが言った。 ソンミンは積荷票を見つめた。 「分からない」 「分からない場所へ行くのか」 「分かる場所に残れば、捕まる」 ソンミンは船体の奥を見た。 「分からない場所なら、まだ追手も来ていない」 船体脇には、船底へ続く狭い整備扉があった。 錆びた鍵が掛かっている。 テジュンが工具を取り出し、音を立てないように鍵を外した。 扉の向こうから、湿った鉄と油の匂いが流れてくる。 人が五人、身を寄せれば隠れられる程度の空間だった。 「ここに入る」 ソンミンが言った。 グンソは動かなかった。 扉の向こうにあるのは、ただの暗闇ではない。 故郷を出ること。 名前を隠すこと。 ムジンを置いていくこと。 すべてが、その狭い船底の向こうにあった。 「グンソ」 テジュンが低く呼んだ。 「ムジンは、俺たちをここまで通した」 グンソは目を閉じた。 鉄扉の向こうから聞こえた、最後の衝撃音を思い出す。 胸元の記録片を強く握った。 「……入れ」 ソンミンが先に入った。 ヘジュ、ドンチョル、テジュンが続く。 最後にグンソが振り返った。 港の照合灯が、ひとつ点滅した。 《対象の移動を確認》 《危険度判定:保留》 警報は鳴らなかった。 だが、保留という言葉は許可ではない。 まだ処理されていないだけだ。 グンソは船底へ身を滑り込ませた。 扉が閉じる。 外の青紫の灯が細い線になり、やがて消えた。 狭い船底で、五人は息を殺した。 しばらくして、甲板の上から足音が響く。 「積み込みは終わったか」 「まもなくです」 「出港を急げ。今夜の潮を逃すな」 誰かが扉の近くを通り過ぎる。 足音が遠ざかる。 機関が低く唸った。 船体が震えた。 鉄板の隙間から差し込んでいた港の光が、ゆっくりと後ろへ流れていく。 船が岸を離れたのだ。 故郷が遠ざかっていく。 グンソは目を閉じた。 ムジンの声は、もう聞こえなかった。 それでも、胸の奥には残っている。 生きろ。 誰も知らない場所へ。 誰も知らない名前の街へ。 行先として残されていたのは、アルトリウスという文字だけだった。 それがどこにあるのか。 何が待っているのか。 五人には、何一つ分からない。 ただ、背後に残れば捕らえられる。 だから彼らは、行き先の分からない船の底で、初めて故郷の外へ出た。 記録の外側へ。 名前を失った者たちの、最初の航海へ。 機関の音が、暗闇の奥で深く鳴った。 五人を乗せた船は、未知の水路へ進み始めた。

Rain Konno | 境界の外側

59,688 次观看 • 23 天前

#渋谷すばる 渋谷さんが今こんな風にテレビに出たり活発に活動していること、「全ては無駄じゃなかった」と強い意志に基づいて言葉にすること、その背景には到底語り尽くせない程の出来事と感情があった。 信じられないくらい遠回りをしたし、その過程で彼はたくさん傷つけ、たくさん傷つけられた。 グループを裏切ったと責められること、 そこに負い目を感じるからこそ、自らを檻の中に閉じ込めるようになっていったこと。 辞めたからには自作曲を歌わないとグループのファンを傷つけると思い、提供曲を歌うことを自らに許さなかったことや 実際に単身LAに渡り創作活動をしていたのに、コロナのせいで途中で引き上げざるを得ず、「なんの結果も出せなかったから」という理由で 「海外に拠点を移すなんて嘘をついた」と叩かれても黙っていたこと その後コロナ禍で思うように活動ができず、ファンとどんどん心の距離が離れていったこと、あらゆる悪意と敵意を浴びて明らかに荒んでいったこと 活動を再開した時に目の当たりにした現実。 そこから逃げずに闘う道を選んだこと。 そして表に出していないであろう、計り知れない様々な出来事。 その度に彼は傷口からダラダラ真っ赤な血を流し のたうち回って、その姿をファンに晒したり、頑なに晒さなかったりした。 痛々しかったし、苦しかったし、切なかった。 見ていられなかったし、目が離せなかった。 潔かったし、たくましかったし、かっこよかった。 辛かった。悲しかった。世界一大好きだと何度も思った。 この世界に感情の種類がいくつあるか知らないけれど、 喜怒哀楽では到底収まりきらないあらゆる感情を、この5年の間、彼に対して強烈に抱き続けた。 とにかく、どんなに情けない姿を晒すことになろうと、彼は一切取り繕うことも逃げることもしなかった。 今 表に見えるものは、そんな日々の果てに辿り着いたほんの一部。ほんの表層。 彼は変わらず顔がよく、バラエティへの勘が鋭く、やっぱり少しおかしい。 そして、いい歌を歌う。 思っていた以上に当時とのギャップを感じさせないその立ち居振る舞いに、キャリアの長さを思い知らされたりする。 それでもお昼の地上波生放送で歌った後、こんな飾らない真摯な表情を見せるに至ったのは、 不安の中で自らを鼓舞した1年間 絶望の中でもがき苦しんだ2年間 現実の中で闘い続けた2年間 この5年の月日があったからに違いなくて 独立して、必死で「自分だけの表現」を探し格闘する中で見つけ出した、一旦の答え “ファンの喜ぶことがしたいと思った” “求められるものに応えてみたいと思った” “歌うことが好きだと思った” あまりに朴訥であまりにシンプルな答え その、象徴みたいな顔だなと思う。 私は渋谷さんのファンだけど ファンが喜ぶってなんだろうねって思う。 ファンなんて本当に勝手だから 勝手に好きになって勝手に理想を作り上げて 勝手にその理想からズレたと怒って勝手に失望して 勝手に離れていく そんなどうしようもない生き物だから “ファンが喜ぶことがしたいと思った” その勿体無い言葉を素直に受け取っていいか、ちょっと逡巡してしまう。 こっちなんて見なくていいから好きなことをやってよって思うけど でも、わかる 渋谷さんは人が好きだし、人に愛されるのが好きだし、人を喜ばせるのが好きな人だから だからこそ、それが叶わなくて、この5年、ボロボロに傷ついたのだということ。 複雑に入り組んだものを一枚一枚剥がしていくと、案外結構、シンプルなものだ。 未だに時折、「だったらやめなきゃよかったのに」といった趣旨の言葉を見かける。 私はそれを見て、あのままではここには辿り着いていなかったよと思う。 あまりにも長く険しく入り組んだ迷路の果てに、ようやく辿り着いた道だから 本当に下手くそすぎる だからこそ、過ぎた道を振り返れば、渋谷すばるにしか歩めない形になっているなと思う 見たことのない歪な形をした、ぶっとい獣道 この先何処へ行くのか想像もつかない。 進んだ先は断崖絶壁かもしれないねと思う。 未来にはなんの責任も持てないけれど、 私は今の渋谷すばるが過去のどの瞬間よりも圧倒的に好きだ。断然、好きだ。 歌い終わったこの顔を見て それだけは確かだなと、そう思った。

ぼと子

331,049 次观看 • 1 年前

異世界アイドル☆パラレルパレード NEO AKIBA ARCHIVE LOG R-22 ―航路未定― 押し花の花弁は、何年も前に枯れている。それでも、色だけは失っていなかった。 グンソは、机の上の無窮花を見つめたまま、長いあいだ動かなかった。 船室の外では、港の生活音が続いている。荷を運ぶ台車。水面を擦る係留鎖。遠くで交わされる作業員の声。誰かが笑っている。普通の人間が、普通の夜を過ごしている音だった。 その時、港の奥で警告鐘が鳴った。 短く三度。 グンソの肩が跳ねた。手が、外套の内側へ伸びる。 オルフェンは気づいたが、何も言わなかった。言うより先に、グンソが口を開いた。 「聞くな」 「……はい」 鐘は、もう一度だけ鳴った。三度。間を置いて、三度。 グンソの指が、押し花を握りつぶしそうになっている。 オルフェンは、その手には触れなかった。代わりに机の上から紙を一枚取り、端だけを持って、花を包める形に折った。 「しまうなら、こちらを使ってください」 「触らないのか」 「大切なものに、勝手に触れてはいけないと思いますので」 グンソは、しばらくオルフェンを見ていた。それから自分の手で、押し花を紙の中へ戻した。オルフェンは、包み終わるまで待った。 「北方の音だ」 グンソが言った。 「警告鐘が、ですか」 「三度鳴る。少し間を置いて、また三度」 「同じ音ですか」 「似ているだけだ」 「では、同じではない」 グンソは答えなかった。紙に包まれた無窮花を、外套の内側へしまう。 「北方では、音にも意味がある。誰が聞いたか。どこで鳴ったか。何回鳴ったか。それで、人間の扱いが変わる」 「今の鐘は」 「港の警告だろう」 「北方とは関係ない」 「そうだ」 グンソは、自分の手を見た。 「だから、余計に怖い」 オルフェンは、少しだけ目を伏せた。それから、机の上の記録へ視線を戻す。 「ソナさんの居場所は、分かりません」 「……ああ」 「私も、正確な場所は知りません」 「資料を持っていたのに?」 「資料に書かれているのは、処置の記録と、収容された可能性だけです」 オルフェンは、書類筒から一枚の紙を取り出した。名前の代わりに、番号が並んでいる。 A-12。 B-07。 C-03。 紙の端には、赤い線が引かれていた。 「場所は」 「記載されていません」 「施設名は」 「ありません」 「担当者は」 「ありません」 グンソは、紙を見下ろした。 「それが北方の記録だ」 「はい」 「分からないのではない」 紙の端を、指で叩く。 「分からないようにされている」 オルフェンは、静かに頷いた。 「そうですね」 簡単には、否定しなかった。 グンソが航路図を引き寄せる。アルトリウスから北へ伸びる線。いくつもの国境線。記録の途切れた地域。その先には、広大な白紙が広がっていた。 「北方人民共和国は、建国からおよそ一千年になる」 鉛筆が、地図の上をゆっくり移動する。王朝が変わり、軍が国を握り、革命が起き、旗も支配者も入れ替わった土地を、線がなぞっていく。 「それでも国は残った」 「なぜですか」 「崩れるたびに、別の形になるからだ」 鉛筆が、国境線の上で止まった。 「城壁を壊せば地下へ逃げる。地下を塞げば山へ移る。王を殺せば別の王を立てる。軍を倒せば、記録官が新しい軍を作る」 「国家そのものが、逃げる」 「違う」 グンソは、オルフェンを見た。 「逃げた人間を、国家の中へ戻す」 鉛筆の先が、白紙の手前で止まった。 「この辺りに、村がある」 「地図には」 「載っていない。実在もしていない」 オルフェンは、口を挟まなかった。 「三年前だ。俺たちは、そこで飯を食った」 鉛筆が、白紙をわずかに掻いた。 「屋根があって、井戸があって、子どもが走っていた。年寄りが、南から来たのかと訊いた」 「答えたんですか」 「頷いた。一度だけだ」 グンソは、鉛筆を置いた。 「その晩、村の半分が消えた。家も、井戸も、子どもも。朝には草地に戻っていた」 「……人は」 「ソンミンが気づいて、五人で夜通し走った」 それ以上は言わなかった。 「道路標識が違う。川の流れが違う。村人の言葉も違う。それでも、全部偽物だ」 「見分ける方法は」 グンソは首を振った。 「本当の国境へ着くまでに、三度、国境を越えたと思わされる」 「三度」 「俺たちは二度で気づいた。運が良かっただけだ」 オルフェンは、地図を見つめた。 「北へ向かえば、見つかる可能性が――」 「北へ行けば見つかるわけじゃない」 グンソが遮った。 「北へ向かう道そのものが、罠だ」 オルフェンは、すぐに言葉を止めた。 「……そうですね。すみません。私は、まだ何も知りませんでした」 指先で、地図の白紙部分をなぞる。 「では、北へ行く方法ではなく、北へ行かない方法から考えます」 「どういう意味だ」 「偽の村へ入らない。偽の救助所へ行かない。記録に書かれた道を、そのまま信じない」 「それだけでは、どこにも進めない」 「そうですね」 「進めないぞ」 「では、進めないことを前提に考えます」 「前提にするのか」 「はい」 オルフェンは、少しだけ眉を下げた。 「進めると思い込んで捕まるより、進めない場所を一つずつ避けた方が、たぶん長く生きられます」 グンソは、初めてわずかに口元を緩めた。 「勇者らしくない」 「よく言われます」 「褒めていない」 「それも、よく言われます」 短い間があった。それきり、どちらも笑わなかった。 グンソが、外套の内側へ手を入れる。 「ソナが保護施設へ送られたことだけは、確かだ」 短い沈黙があった。 「それ以外は、何も」 さらに短い沈黙があった。 「今、生きているのかも」 オルフェンは、黙って聞いた。 グンソは、目を伏せた。 「覚えているのは、白い車だけだ」 「車両番号は」 「見えなかった」 「護送員の顔は」 「覚えていない」 「他には」 「……消毒薬の匂い」 オルフェンは、紙へ書き留める。 「それから、床の振動」 「振動」 「舗装された道を走っていなかった。何度も沈んだ。橋を渡った。長い鉄の音がした」 「線路ですか」 グンソは、首を振った。 「音は」 「警告音。三度鳴って、少し間があって、また三度」 オルフェンの筆が止まった。 「さっきの鐘と同じですね」 「似ているだけだ」 「はい」 オルフェンは、断定しなかった。ただ、その横に小さく記録した。 《三音。要確認》 「他には、何か」 返事はなかった。 顔を上げて、オルフェンは初めて、自分が何をしていたのかに気づいた。 紙の上には、匂いと、振動と、音が並んでいる。妹が連れていかれた夜が、そのまま項目になっていた。 オルフェンは、筆を置いた。 「……すみません。訊き方が悪かったです」 「構わない」 「構いません」 言ってから、続きを探した。見つからなかった。 「必ず見つかります、と言いかけました」 「言えばいい」 「言えません」 オルフェンは、自分の手元を見た。指が、わずかに強張っている。 「私は、まだ何も知らないので」 グンソは、答えなかった。 「それだけで、見つけられると思うか」 しばらくして、そう訊いた。 「それだけでは難しいと思います」 「では、何になる」 「探すための入口です」 グンソは、紙を見た。 名前。年齢。番号。消毒薬。白い車。鉄の音。三度の警告。 場所はない。施設名もない。 それでも、何もないわけではなかった。 「お前は、怖くないのか」 「怖いですよ」 オルフェンは、あっさり答えた。 「北方人民共和国へ入ることも。ソナさんを見つけられないことも。途中で捕まることも」 「それでも行くのか」 「怖いから、行かないという理由にはなりません」 紙を、丁寧に畳む。 「怖くないふりをすると、危険な場所を見落としそうなので」 「怖いまま行くのか」 「怖いまま考えます」 「考えて、どうにかなるか」 「どうにもならないこともあります」 オルフェンは、畳んだ紙の角を揃えた。 「でも、どうにかなるかもしれないことまで、最初から諦めたくはありません」 グンソは、押し花の包みを見た。 「管理者を信用しているのか」 「ええ。少なくとも、私が知る限り、この世界で最も信頼できるお方です」 「助けてくれると思うか」 「助けてくださるかどうかは、まだ分かりません」 グンソの目が細くなる。 オルフェンは、すぐに首を振った。 「信用できないという意味ではありません。私たちが、まだ助けを求めるための材料を持っていない、という意味です」 机の上には、名前と、断片的な記憶しかない。場所もない。経路もない。敵の配置も、罠の仕組みも見えていない。 「これで助けを求めに行くのは、少し失礼かもしれません」 「なぜ」 「管理者さんは、分からないものを分からないままにしない方なので」 オルフェンは、記録をまとめた。 「分からないことも、分からないまま持っていきます」 「それでいいのか」 「はい」 「なぜ」 「嘘をついて、分かったふりをするよりは」 紙を胸元へしまう。 「きっと、ずっといいです」 グンソは、しばらく彼を見ていた。 「管理者に会うのか」 「はい」 「何を話す」 「北方人民共和国へ入る方法を相談します」 「許可が出なかったら」 「困ります」 「それだけか」 「かなり困ります」 オルフェンは、真剣な顔で答えた。あまりに素直な返事に、グンソは思わず息を吐いた。 「お前は、本当に勇者なのか」 「私も、時々そう思います」 オルフェンは、扉へ向かった。 「ここで待っていてください」 「戻るのか」 「戻ります」 「約束できるのか」 オルフェンは、扉の前で振り返った。 「約束は、守れる人間だけがするものではありません」 グンソが黙る。 「守ろうとする人間も、していいものだと思います」 扉に手をかけて、一拍だけ、そのまま止まった。 それから開けた。港の冷たい空気が、船室へ流れ込んでくる。 オルフェンは外へ出た。扉が閉じる直前、グンソが呼び止める。 「オルフェン」 「はい」 「もし、見つからなかったら」 オルフェンは、少しだけ考えた。 「見つからなかった時に、考えましょう」 「今は考えないのか」 「今は、見つける方法を考えたいので」 グンソは、何も言わなかった。 オルフェンは、最後にもう一度だけ微笑んだ。そして、港の青紫の灯りの中へ歩いていった。 船室に残されたグンソは、机の上の記録を見つめた。 チェ・ソナ。十三歳。未登録歌姫。保護対象。 その名前の下には、まだ何も書かれていない。 それでも、初めて誰かが、その名前を番号へ戻さずに記録した。 グンソは、無窮花の包みを、紙の上へ置いた。 北方人民共和国。一千年を生き延びた国家。何度崩されても形を変え、どの国にも、どの軍にも、完全には倒されなかった国。 そのどこかに、妹がいる。 地図はない。道もない。名前と、消毒薬の匂いと、三度鳴る警告音だけが残っている。 港の外で、警告鐘が鳴った。 短く三度。 グンソは顔を上げた。 今度は、逃げなかった。

Rain Konno | 境界の外側

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