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電子 スピン 原子をいい感じに視覚化したいという小さな野望の第一歩 教科書の図じゃ物足りない! #blender

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異世界アイドル☆パラレルパレード NEO AKIBA OBSERVATION LOG 2-08 ― 古書灯の図書館 後編 ― 一枚の古い貸出カードが、蜂蜜色の灯りを受けて静かに光っていた。 少女は、まだ気付いていなかった。 返本灯だけが、小さく一度だけ鳴いた。 ちりん。 「ん?」 少女が顔を上げる。返本灯は本棚の下を照らしたまま、細い脚をそろえて止まっていた。光の輪の端に、薄い板が一枚だけ見えている。 少女はしゃがみ込み、指先でそっと引っぱった。角が丸くなった、古い貸出カードだった。 「これなに?」 「昔の貸出カードですね。」 図書室のお姉さんが、受付台からゆっくり近づいてくる。カードには子供の字で名前が書かれ、その上には、少女が今日返した冒険小説と同じ題名が残っていた。 少女は読もうとして、少しだけ首をかしげる。 「はる……た?」 お姉さんはカードを見て、ふっと笑った。 「春じいが、子供の頃に使っていたカードですよ。」 「春じい!?」 少女はもう一度カードを見た。そこには、今の春じいが書く字とはまるで違う、丸くて小さな『春田』の文字が残っていた。 その一番下には、返却期限を九日過ぎたことを示す赤い判が残っていた。 延滞 九日。 少女はしばらく黙った。 それから、ゆっくり返本灯を見る。 「あたしより病んでる。」 「かなりですね。」 「九日も返さなかったの?」 「そうみたいです。」 「その間に、この本を読みたかった子がいたら困る。」 「そうですね。」 「じゃあ、春じいが悪い。」 「返し忘れたのは春じいですからね。」 少女は急に元気になった。 「今日、あかり亭で言う!」 「言わなくていいと思います。」 「春じい、本返さない不良だったって。」 「それは言いすぎです。」 返本灯が、足元で小さく揺れた。 ちりん。 灯りまで笑ったように見えた。 カードの裏には、もっと薄い字が残っていた。鉛筆で書かれた、少しだけ傾いた子供の文字。 ぼうけん たのしかった 少女は、声に出して読んだ。 「ぼうけん、たのしかった。」 「春じいが、自分で選んだ本だったのかもしれませんね。」 「春じいも、ぼうけん好きだったんだ。」 「春じいも、最初は子供でしたから。」 少女はカードと、自分が返した冒険小説を見比べた。春じいも昔、この棚の前で同じ本を抱えていたのかもしれない。 返すのを忘れて、誰かに怒られて、それでもまた新しい本を借りに来たのかもしれない。 「じゃあ春じいも、ここで迷子になった?」 「春じいは、あなたほどではなかったと思います。」 「あたしは迷子じゃない。探索。」 「そうでした。」 少女は胸を張った。 「春じいにも、明日新しい本借りようって言う。」 「春じいと一緒にですか?」 「うん。九日遅れた人には、あたしが教える。」 「頼もしいですね。」 「天才だから。」 返本灯が少女の前まで、とことこと歩いた。入口の方を向き、蜂蜜色の灯りを少しだけ明るくする。 少女はしゃがみ込んだ。 「明日もいる?」 返本灯は、首を傾けるように灯りを揺らした。 ちりん。 「よし。明日また来る。」 「走らないでくださいね。」 「速い早歩き!」 少女は前掛けを揺らしながら、図書室の出口へ向かった。蜂蜜色の灯りの下を、小さな足音が遠ざかっていく。 お姉さんは、返された冒険小説を低い棚のいつもの場所へ戻した。それから春じいの古い貸出カードの隣に、少女の返却記録をそっと重ねる。 木箱の中で、春じいが子供の頃に残したカードと、少女の一日遅れの記録が静かに並んだ。 明日の昼灯になれば、また誰かが新しい本を借りに来る。 古書灯図書館は、今日の一日遅れと、明日の約束を、蜂蜜色の灯りの下で静かに預かっていた。

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