#横浜エクセレンス

#横浜エクセレンス 1. トレイ・ボイドIIIは「突然覚醒したスコアラー」ではない。 高校→NCAA2部→短大→NCAA1部→フランス2部→日本と、10年以上かけて同じ武器を上のカテゴリーへ持ち込み続けてきた。 2. 高校時代は全国トップリクルートではなかった。 オリーブ・ブランチ高校で通算1,000得点を超え、1試合13本の3ポイントという学校記録も残したが、主要な全米ランキング上位には入っていなかった。 3. 最初の進学先はNCAA2部のユニオン大学。 ハイメジャーどころかNCAA1部からキャリアを始めた選手でもない。高校卒業時点では「得点力のある有力ローカルガード」という立ち位置だった。 4. ユニオン大学1年目で、評価を一気に変え始める。 平均15.7得点、3ポイント43.1%、フリースロー85.1%。ガルフ・サウス・カンファレンス新人王にも選ばれた。 5. 重要なのは43.1%より「218本打った」こと。 少ない試投で高確率を残したのではなく、大量に3ポイントを打ちながら43%を維持した。ここで「試投量×効率」というボイドの原型が見える。 6. 短大への移籍は「都落ち」ではなく、市場評価を作り直す選択だった。 強豪ノースウェスト・フロリダ州立大学でNCAA1部へ再挑戦するためのショーケースに立った。 7. 短大ではさらに異常な数字を残した。 34試合すべてに先発し、平均14.8得点。3ポイントは237本中106本成功、44.7%。大量に打ってもシュート効率が崩れなかった。 8. その結果、全米短大35位まで評価を上げた。 高校卒業時は全国ランキング外だった選手が、わずか2年で強豪NCAA1部ミッドメジャーの即戦力候補になった。 9. ボイドは「遅咲き」というより、疑われるたびに新しいサンプルを提出してきた選手。 高校だから、NCAA2部だから、短大だから――カテゴリーを上げるたびに同じシュートを再現し続けた。 10. イーストテネシー州立大学では「チーム得点王なのにベンチ」という特殊な役割を経験した。 NCAA1部初年度は34試合中先発わずか8試合。それでも平均12.2得点でチーム最多だった。 11. ここで身につけたのが「役割を圧縮されても武器を失わない能力」。 ボールを長時間保持しなくても、ベンチから出て短時間でシュート本数と得点を作れた。先発であることと、攻撃上の重要度は別だった。 12. 大学最終年のイーストテネシー州立大学は30勝4敗の強豪だった。 ケンポム全米56位。そのチームでボイドは平均13.6得点を記録し、再びチーム得点王になった。 13. 個人評価もNCAA1部ミッドメジャー最上位級まで到達した。 メディア選出オール・サザン・カンファレンス・ファーストチーム、コーチ選出セカンドチーム、NABC第21地区ファーストチームに選出された。 14. 平均13.6点だけを見ると、ボイドの攻撃力を過小評価する。 平均出場時間は26分。100ポゼッション換算では30.7得点、ボール占有率も約27%。コートにいる時間は明確な高使用率スコアラーだった。 15. NBAに届かなかったことと、スコアラーとして優秀だったことは矛盾しない。 193cmのスコアリングガードがNBAへ入るには、低いボール占有率でも残るシュート、守備、ゲームメーク、サイズなど、NBAで明確な役割を作れる例外的な武器が求められる。 16. 海外プロでは逆に、ボイドの「ボールを持った時の価値」を最大化できた。 NBAで求められる役割圧縮とは反対に、外国籍選手として攻撃を任されることで、大学時代に抑えられていた得点創造力を再び拡張できた。 17. フランス2部で「スコアラー」から「主たる攻撃創造役」へ進化した。 ヴィシー=クレルモンで平均22.7得点、4.1アシスト、ボール占有率33.0%。自分で点を取るだけでなく、自分へ集まった守備から味方へ優位を渡すようになった。 18. 現在のボイドを「3ポイントシューター」と呼ぶだけでは足りない。 2025-26シーズンのB2では3ポイント成功率33.5%ながら平均28.4得点。2ポイント52.4%、平均6.8本のフリースロー、4.5アシストを記録した。シュートが落ちても点を取れる。 19. 若い頃は「3ポイントそのもの」が武器だったが、現在は「3ポイントを警戒させること」が武器になった。 強く出ればドライブ、下がればプルアップ、ヘルプすればパス。長年積み上げたシュートの信用を使って、ディフェンスそのものを動かしている。 20. だから28.4点は突然生まれた数字ではない。 高校で1試合13本、NCAA2部で3ポイント94本、短大で106本、NCAA1部で2年間163本。そしてフランス2部、日本へ。ボイドは「評価を覆した選手」というより、評価が追いつくまで点を取り続けた選手。ひとつの武器にドライブ、判断、フリースロー、ピック&ロール、プレーメークを足し続けた先に、B2得点王がある。
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