
坂井遼太郎
@ryotarosakai12 • 38,789 subscribers
元プロ野球審判員|NPB(2007〜2018)|オールスター出場・ウエスタン優秀審判2回|野球ルール・審判の裏側を発信|株式会社ひと代表取締役|スポーツナビ・データスタジアムと協業し、大学野球の無料配信&速報を推進|野球部特化の就職サイト『ジョブチェック』運営|【坂井への問い合わせ:[email protected]】
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【敷田さん 通算2,000試合達成🎊】 敷田 直人(しきた・なおと) 31年目/54歳 経歴:八幡工高 → 新日鉄君津 敷田審判といえば、世間的にはやはり『卍』の印象が強いと思います。 ただ、NPB審判の内部では、実は『歌が上手い!』ことでも有名です! 特に、今年から台湾プロ野球(CPBL)で活動している木内審判とのデュエット『あずさ2号』は、プロ顔負けのレベルです! 審判としても、日本シリーズに過去4回出場! さらに2024年、2025年と近年も連続で日本シリーズに出場されています! そして今回、通算2,000試合に到達。 まさに、名実ともに『レジェンド審判』の仲間入りです! 敷田さん、本当におめでとうございます! ※試合成立前の時点では1,999試合のため、5回終了後、試合が成立したタイミングまで投稿は控えていました。
坂井遼太郎705,669 views • 2 months ago

【全てがお手本のようなジャッジ】 この判定をしたのは、松本大輝 審判員です。 今年10年目で29歳という若い審判員ですが、今回の一連の動きは本当に素晴らしいものでした。 まず注目してほしいのは、判定そのものだけではありません。 ホームでの判定をした直後に、次に打者走者と一塁での守備者の間で妨害が起きる可能性をしっかり想定し、すぐに一塁ファウルライン上へ移動しています。 そして、最も判定しやすい位置から、打者走者の走路と一塁手の捕球機会を確認しました。 ■ 素晴らしかったのは判定までの流れ プレイが終わった後も、すぐに宣告するのではなく、繰り返しタイムをかけています。 これは、両チーム、選手、観客に対して、まず『プレイが止まったこと』をしっかり伝えるためです。 そのうえで、自分に注目を集めてから妨害を宣告。 さらにマイクを使い、ルール上の重要なポイントを押さえて、非常に分かりやすく説明していました。 ここまで含めて、本当に丁寧なジャッジだったと思います。 ■ この妨害で大切なポイント 今回のルールで大切なのは、『送球を妨害したか』ではありません。 ポイントは『一塁で送球を受けようとする野手の捕球機会を妨げたか』です。 つまり、『投げ手』に対する妨害ではなく、『一塁で送球を受ける側』の守備機会に対する妨害です。 ここを理解していないと、本来は妨害ではないプレイまで、妨害と勘違いしてしまうことがあります。 ■ まさにファインジャッジ 今回のプレイ自体は、ルールを理解していればに難しい判定ではないかもしれません。 ただ、 『次のプレイを予測する』 『良い位置へ動く』 『妨害を確認する』 『タイムを明確にかける』 『両チームと観客に伝える』 『マイクで正しく分かりやすく説明する』 ここまでの一連の流れが本当に素晴らしかったです。 審判員を目指す方や若い審判員にとっても、非常に参考になる対応だったと思います! ■ 若い審判員にも大きなチャンスを 松本審判員は10年目。 審判員は個人事業主ではありますが、選手のように、結果を出せばすぐ大きな舞台に抜擢される、という世界ではないのが現状です。 僕自身も現役時代、契約の場で『年数が足りないから、まだ起用できない。あと何年かこの調子で頑張れ』と言われ、正直かなり気持ちが落ちた経験があります。 もちろん、経験年数が大切なのは理解しています。 ただ、今回のような素晴らしいジャッジを見ると、年数だけではなく『今の実力』も、もっと評価されてほしいと感じます。 松本審判員は、塁審でも安定したジャッジを続けています。 そのため、クライマックスシリーズのような大舞台に抜擢されても、実力的にはまったく不思議ではないと思います。 若くても、実力があれば大きな舞台に立てる。 そういう環境になれば、若い審判員のモチベーションにもつながるはずです! 今回の松本審判員の判定と対応は、『ファインジャッジ』として選出されてもおかしくない素晴らしいものだったと思います!
坂井遼太郎244,618 views • 1 month ago

【原口選手という“人間力”】 先日の最終戦での一幕。 プレイ前に球審の眞鍋審判が原口文仁選手の肩を「ポン」と叩くシーンがありました。 おそらく、原口くん(今回は普段の呼び方で書きます)が「最後の試合、よろしくお願いします」と声をかけ、それに対して眞鍋さんが「よろしく」という気持ちで応えた「ポン」だったのだと思います。 原口くんは、僕が現役審判だった頃、必ず「坂井さん、今日もよろしくお願いします」と声をかけてくる選手でした。 もちろん審判として贔屓はできませんが、心のどこかで「彼には活躍してほしい」と思ってしまう、そんな選手でした。 ■ 判定に一切態度を出さない選手 原口くんは、判定に対して感情を出さない選手でした。 僕が明らかにストライク・ボールを誤ったときでも、ベンチが反応したタイミングで、捕手を務めていた原口くんは 「すみません、僕のキャッチングが悪くて、見えにくかったですよね」 と、むしろ謝ってくる。 さらに、球審(僕)に振り返ると、ファンやベンチからは文句を言っているように見えることを理解して、必ず投手の方を見ながら会話をする。 本当に細やかな気遣いができる選手でした。 だからこそ審判の間でも「原口が反応するなら、それは審判が間違えている証拠や!」と言われるほど、審判にも信頼されていました。 ■ 苦難を乗り越えた16年 育成から支配下、そして一軍の舞台へ。 ファームで結果が出なかった時期も、一軍で脚光を浴びた時期も、態度は一切変わらない。 苦しい時代を知っているからこそ、彼の謙虚さと誠実さは本物でした。 ■ 子どもたちに見てほしい姿 野球をしている子も、そうでない子も。 原口くんの生き方そのものが「お手本」になると強く思います。 どんな状況でも人に敬意を払い、努力を続け、誠実であること。 原口選手、16年間本当にお疲れさまでした。 あなたの姿勢は、これからもずっと多くの人の心に残り続けると思います。
坂井遼太郎1,588,853 views • 9 months ago

【眞鍋さん 通算3,000試合達成】 眞鍋 勝已(まなべ・かつみ) 35年目/57歳 経歴:関西高 → 阪神 眞鍋さんは、関西高校から阪神を経てNPB審判員へなった方です。 3,000試合という数字は、長い年月、体を整え続け、判定と向き合い続け、グラウンドに立ち続けてきた証だと思います。 今後この数値に届く可能性のある方は、川口審判、津川審判、白井審判くらいだと思います。 それほど『3,000試合』は特別な記録です! ■ 眞鍋さんのすごさ 眞鍋さんは、とにかく『芯の強い方』です! 会議などで強く反対意見を出すことがあっても、最終的に方針が決まれば、その決定をとことんやり通す。 自分の考えを持ちながらも、組織として決まったことには責任を持って向き合う。 そこが、眞鍋さんの本当にすごいところだと思います! ■ 僕にとっても大きな存在 僕自身、一軍に出始めた頃、なかなか思うようにいかず、伸び悩んでいた時期がありました。 その時に、眞鍋さんにはいろいろ話を聞いていただきました。 厳しい言葉もありましたが、その一つひとつが自分にとって必要なもので、前に進むきっかけを作ってくれた方です。 メンタル面を本当に鍛えていただきました。 ■ 後輩思いの優しい方 眞鍋さんは、正直めちゃくちゃ怖く見えます。 選手はもちろん、審判部の中でも眞鍋さんに対して緊張感を持っている人は多かったと思います。 ただ、実際に深く接すると、その印象とはまったく違います! 本当に優しい心を持った方です! どれだけ忙しくても、後輩が悩んでいると時間を作って話を聞いてくれる。 スケジュールが詰まっていても、困っている後輩を放っておかない。 厳しさの中に、ものすごく深い優しさがある方です。 ■ 名前を覚えてもらうまでが一つの壁 少し面白い話をすると、眞鍋さんは、ある程度その人を認めるまで、なかなか名前を覚えてくれません。 そのため、NPB審判員になってから3〜5年目くらいまで、眞鍋さんに名前を覚えられていない後輩もたくさんいました。笑 でも、それも含めて眞鍋さんらしさだと思います。 NPB審判員にとっては、眞鍋さんに名前を覚えてもらえることが、一つの通過点のような感じです。笑 ■ さいごに 3,000試合という記録は、技術だけでなく、体力、精神力、責任感、そして長く信頼され続ける力がなければ到達できない数字です。 眞鍋さん、本当におめでとうございます! これからもグラウンドでのご活躍を楽しみにしています!
坂井遼太郎280,753 views • 2 months ago

【白井さんの袖番号が『いつもと違う』理由】 実は、審判にはそれぞれ『袖番号(個人番号)』があります。 ※僕は現役時代『12』でした。 ■ 袖番号ってなに? 審判の袖に付いている番号は、基本的に『その審判の個人番号』です。 選手でいうところの背番号です。 白井さんの袖番号は本来『20』。 でもこの試合では、なぜか『4』を付けています。 ■ 『4』は誰の番号? 『4』は本来、吉本審判の袖番号です。 じゃあ、なぜ白井さんが『4』をつけていたのか? 結論としては単純で『ユニフォームを忘れた』からです。 NPB審判のユニフォームって、想像以上に種類が多いんです。 そのため、 ・長袖と半袖を間違える ・オールスター用を持ってきてしまう ・普通に入れ忘れる こういうミスは、年間で何回か起きます。 ■ じゃあどうする? 対処はシンプルで、基本は『控え審判から借りる』。 これはわりと普通にあります。 今回もおそらく、控えに吉本さんがいて借りた。 もしくは、甲子園や京セラでは、関西の審判はユニフォームを置いていくことがあります。 その置いてあったユニフォームを使った。 このどちらかと思います。 ■ 忘れ物より大事な能力 もちろん忘れ物しないのが一番。 でも正直、NPBの審判は練習試合なども入れれば、年間150-200試合近く行うので、5年以上やってたら、誰もが忘れ物を経験します。 そんな時に大事なのは、焦らず『平常心で試合に入ること』。 これは審判としてとても大切なスキルです! ■ もっとすごい『借り物』もある 昔、プロテクターを忘れた審判がいました。 さすがにプロテクターの代わりはないので、チームにお願いすることに。 その結果『捕手用のプロテクターで球審をやった』審判もいます。笑 こういう『審判の裏側あるある』も、ちょこちょこ紹介します!
坂井遼太郎488,390 views • 4 months ago

【“離塁タイミング”って知ってますか?】 動画は、大谷選手がタッチアップで進塁したシーン。 注目するのは 『2塁走者の離塁のタイミング』 守備側の選手は、 『完全捕球より離塁が早い!』と抗議。 しかし、判定は覆らず! タッグアップ(通称:タッチアップ)=“捕球後にスタート” と思っていた選手。 実はそれ…正確ではありません⚠️ ■ 離塁の“正しい”タイミングは? 『完全捕球の後』ではなく ✅ 野手の身体(グラブ含む)にボールが触れた瞬間 これがタッグアップの起点なんです! 一見、早く飛び出したように見えても―― グラブに触れた瞬間に動き出しているため、これは“正しいプレイ”。 ルールをよく理解した、素晴らしい走塁です👏 ■ 「完全捕球後スタート」が基準だと? 極端な話… “お手玉”しながら内野まで走って捕れば、 ランナーは全然進めません💦 厳密には、意図的なお手玉は“キャッチ”とみなされますが、 いったんそれは置いときます(笑) だからこそルールでは、 ✅ 身体に触れた瞬間=離塁のOK と定められているのです。 ■ ルールを知ると野球がもっと楽しくなる! ⚾️ 選手は正確な判断ができる ⚾️ 指導者は理論的な説明ができる ⚾️ 観客も「なるほど!」が増える こういう「見落とされがちなルール」ほど、知ってると面白いですよ⚾️✨
坂井遼太郎1,466,782 views • 1 year ago

【このボークはなぜ宣告されたのか?】 大谷選手の打席で宣告されたボークについて『なぜボークなの?』という質問をいただきました。 結論から言うと、今回のボークは、投手がセットポジションに入ったあとに右足を引いたことで『投球動作の変更』と判断され宣告されています。 ■ ポイントはセットポジションの後の動き 投手は、軸足が投手板に触れ、もう一方の足が投手板の前方にあり、ボールを両手で身体の前方に保持して静止すると『セットポジション』として扱われます。 そして、一度その状態に入ったあとで、今回のように別の動きへ移ることはできません。 つまり今回のポイントは『セットに入ったあとに動きを変えた』という点にあります。 ■ 『セット』から『ワインドアップ』に変わった 今回の映像(後半部分のリプレイ)では、投手はセットポジションとして見られる状態に入ったあと、そこからワインドアップのような形へ移っています。 そのため審判としては『セットポジションから投球動作を変更した』と判断し、ボークを宣告しています。 日本でよく知られている例で言えば、昨年のバウアー投手のボークが分かりやすいと思います。 ■ 『ハイブリッドポジション』と混同しやすい ここで少しややこしいのが、日本でも今年から採用された『ハイブリッドポジション』です。 ▼ハイブリッドポジションとは セットポジションと同じ足の配置であっても、事前に申告していればワインドアップで投球することが認められるルール かなり簡単に言えば『見た目はセットでも、申告していればワインドアップとして投げていい』というルールです。 そのため、仮に事前の申告が認められていれば、今回のような動きでもボークにならず、正規の投球として扱われます。 ■ なぜ混乱が起きやすいのか このルールは、選手にとっても審判にとっても、少し複雑なルールとなっています。 しかも、実際に使われる場面はそこまで多くないため、なおさら混同が起きやすくなります。 日本では今年から採用となりましたが、MLBでは2017年から採用されています。 しかし、MLBでは前段の理由もあり、廃止する可能性の高いルールとして議題に上がっています。 日本では今年から採用となりましたが、もしかしたら来年や再来年には無くなってしまう(元のルールに戻る)ルールかもしれません。 ■ さいごに 野球のルールは本当にややこしいです。 ただ、こうした細かいルールを知ることで、プレイを見る楽しさは確実に高くなります! 選手にとっても、指導者にとっても、観戦するファンにとっても、ルールを正しく知ることは大きなプラスです! 日本の野球界の発展のためにも、少しずつでも正しいルールの理解が広まっていけば嬉しいです。
坂井遼太郎288,845 views • 2 months ago

【ルールを知らないと混乱する】 この動画では、守備側がインフィールドフライの打球を、あえて捕らずに落としています。 これはミスではなく、ルールを理解したうえでの『頭脳プレイ』です! ■ インフィールドフライは打者がアウト インフィールドフライが宣告され、その打球がフェアになれば、捕球したかどうかに関係なく『打者はアウト』になります。 つまり、打球が落ちたとしても、走者は必ず次の塁へ進まなければいけないわけではありません。 ここが重要なポイントです! ■ 守備側が狙っていること 守備側があえて捕らずに落とすことで、走者が一瞬、 『落ちたから進まないといけない?』 『フォースプレイになる?』 と勘違いして、慌てて塁を離れる可能性があります。 その走者をアウトにできれば、ダブルプレイに繋げれます。 つまりこれは、インフィールドフライのルールを正しく理解していない走者のミスを誘うプレイです。 ■ 意外と難しいルール 『誰が引っ掛かるの?』と思う方もいるかもしれません。 ただ、実際にはインフィールドフライを完璧に理解している人は、意外と少ないです。 プロ野球選手であっても、 『ざっくりでしか理解してない』 『実際に打球が落ちた瞬間に混乱する』 このような選手は意外といます。 またルールを文章上は理解できていても、試合中に突然その場面が起きると、混乱することが多々あります。 ■ 見る側も知っておくと面白い インフィールドフライは、本来、守備側がわざと打球を落として、安易に『ダブルプレイを取ることを防ぐためのルール』です。 そのため、インフィールドフライが宣告されれば、走者は無理に進塁する必要はありません。 ただ、ルールを正しく理解していないと、打球が落ちた瞬間に慌てて飛び出してしまうことがあります。 本来はルールに守られているはずなのに、ルールを知らないことで損をしてしまう。 野球には、そういうプレイが意外とあります。 ぜひこの機会に、インフィールドフライのルールを少し勉強してみてください! ちなみに、走者の判断ミスを誘うためにあえて落としても、味方がその意図を理解していなければ成立しません! こういうプレイは、守備側全体の『ルール理解度』と『連携』もかなり大切になります!笑
坂井遼太郎175,496 views • 2 months ago

【これはコリジョンルール適用なのか?】 昨日の『広島 vs DeNA』の6回表にあった本塁クロスプレイについて、『コリジョンルール適用ではないのか?』という質問をいくつかいただきました。 ▼動画2:20〜のプレイです。 結論から言うと、『コリジョンルールには抵触しない』という判断は妥当だと思います! ■ ポイントは捕手が本塁を塞いでいたかどうか まず、送球が投げられた時点で、捕手は本塁より前に出ています。 その後、送球が取りにくいバウンドになったため、捕手は体を引きながら左膝を落とすような形になっています。 ここだけを見ると、本塁を跨ぐ形で膝を落としているので『違反なのでは?』と感じる人もいるかもしれません。 ただ、映像を見る限りでは、捕手は送球のバウンドに反応して動いた結果、その体勢になっています。 そして、最終的にタッグにいく場面でも、本塁上を最後まで可能な限り空けながらプレイしています。 そのため、これは『本塁を隠すためのブロック』ではなく、『送球を処理する中で起きた自然な動き』と見るのが妥当です! ■ 送球への反応なら適用外になることがある コリジョンルールでは、捕手がボールを持たずに、得点しようとしている走者の走路をブロックすることはできません。 ただし、送球の方向、軌道、バウンドに反応して動いた結果、やむを得ず走路をふさぐような形になった場合は、コリジョンルール違反とはみなされません。 今回のプレイは、完全にふさぐ形にもなっていませんが、この考え方に近いプレイです! 捕手が最初から本塁を隠すように構えていたわけではなく、送球を捕りにいく中で体勢が変わっています。 ここが大きなポイントです! ■ どんな形ならコリジョンになるのか 例えば、送球を捕る前から捕手が本塁上に膝を落とし、走者がホームベースに触れられないように完全に隠していた場合は、コリジョンルールが適用されます。 また、送球への反応とは言えない形で、意図的に走路や本塁を塞いでいれば、それもコリジョンルールが適用されます。 つまり大事なのは、 『捕手がどこにいたか』 『なぜその位置に動いたのか』 『本塁を完全に塞いでいたのか』 『送球を処理するための動きだったのか』 このあたりを総合的に見る必要があります。 ■ コリジョンルールの本来の目的 コリジョンルールは、本塁上での危険な衝突を減らすために作られたルールです! 走者の『危険なタックル』を防ぐ意味もありますし、捕手が『本塁を完全に塞ぐような危険なブロック』を防ぐ意味もあります。 そのため、『捕手は絶対に走路に入ってはいけない』というルールではありません! 送球がそれたり、バウンドが変わったりして、捕手が送球を処理するために動いた結果、走路に入ってしまうことはよくあります。 その場合でも、送球を処理するための動きであれば、コリジョンルール適用となるわけではありません。 ただし、その中でも意図的に本塁を隠すようなブロックはしてはいけません。 かなり細かい決まりがあるルールですが、簡単に言えばこのような整理になります。 ■ 導入の背景には捕手側の強い要望もあった 少し背景の話をすると、このコリジョンルールは、日本では『選手会』、特に捕手側からの強い要望もあり、導入されたルールです。 当時、僕自身もNPBに在籍していましたが、日本の野球では、海外のように明らかに危険なタックルをする選手は多くいませんでした。 そのため、審判部でも『日本で導入する必要があるのか?』という考えもありました。 ただ、マートン選手のタックルのように、捕手の選手生命に関わる危険なプレイが実際に起きたこともあり、最終的には本塁上での危険な接触を減らすために導入されることになりました。 ※余談ですが、マートン選手の危険なタックルがあった試合で球審をしていたのは僕です。 だからこそ、このルールは『捕手の動きを制限するためのルール』ではありません。 本来は、走者の『危険なタックル』を防ぎ、捕手の『危険なブロック』も防ぐことで、本塁上の大きな怪我を減らすためのルールです。 ■ ルールの悪用は現実的ではない 中には、『送球がそれたふりをしてブロックできるのでは?』と考える方もいるかもしれません。 ただ、現実的にはそれを『選手が意図的に行う』メリットはほとんどありません。 もし本塁を塞ぐような危険なプレイが増えれば、捕手と走者は接触リスクが高くなります! そうなると、結果的に捕手自身が大きな怪我をする可能性もありますし、ルールそのものがさらに厳しくなる方向に進むだけです。 選手生命に関わるリスクを考えても、このルールを悪用するメリットはほとんどないと思います。 また、選手会からの強い要望で採用されたルールを、『選手自ら悪用する』とは到底考えられません。 仮に、その場ではアウトになったとしても、映像検証の結果、 『セーフに変わる』 『コリジョンルール適用で警告が与えられる』 『選手生命に関わる怪我を負うリスクがある』 『ルールが厳しくなれば、他の選手から批判される可能性がある』 このようなリスクばかりある中で、捕手が『意図的にルールを違反する』メリットはかなり少ないと思います! ■ 判定したのは球審ではない SNS上では、球審が『コリジョンを認めなかった』という投稿も見かけました。 ただ、このプレイで本塁の判定を担当していたのは球審ではなく、一塁審判です。 審判員は試合中、状況に応じてそれぞれ動きます! このプレイでは、球審は三塁方向へ動き、本塁のプレイは一塁審判が担当していました。 また、リクエスト後に最終的な判断を行ったのは『リプレイセンター側』です。 その結果として、コリジョンルールには抵触しないという判断になったわけですが、映像を見る限り、このリプレイセンター側の判断は妥当だったと思います! ■ さいごに コリジョンルールは、かなり誤解されやすいルールです! なぜか、捕手が『少しでも走路に入ればすべて違反になる』と考えてしまう人も多くいます。 しかし大切なのは、捕手が『送球を処理するために動いたのか』それとも『本塁を塞ぐために動いたのか』という点です! 今回のプレイは、送球のバウンドに反応した中での動きであり、さらに最後まで本塁を完全に塞いでいたわけでもありません。 そのため、コリジョンルール適用なしという判断は妥当です!
坂井遼太郎138,257 views • 1 month ago

【折れたバットが守備を妨害?】 「折れたバット」が源田選手の守備を妨害したシーンが映っています。 ■ 守備妨害になる?ならない? 「守備妨害にならないの?」と質問が来たのでお答えします。 折れたバットの場合は、守備を妨害しても、打球に当たったとしても『守備妨害』にはなりません! ルール上、折れたバットが飛び、守備側の動きを妨げた場合でも、それは「偶然の出来事」として扱われます。 ■ バット全体の場合は注意! 一方で、打者が打った後にバットそのものが『意図的』『偶然』に関わらず、守備の妨げとなった場合は『守備妨害』となります。 まとめると… ✅ 折れたバット→守備妨害にならない ✅ バット全体→守備妨害になる ■ 今回は珍しいシーン! こうしたプレイは、投手への打球でよく見られます。 しかし、今回は遊撃手への打球で起きた、非常に珍しいケースでした。 野球のルールは細かく分かれており、こうした事例でもしっかり線引きされています。 ルールブックは難しいですが、こういう事例があるとわかりやすいと思います!
坂井遼太郎782,591 views • 1 year ago

【全員から愛された審判員・笠原さん】 笠原 昌春(かさはら・まさはる) 38年目/60歳 経歴:東京電機大高 → 東京電機大 (※動画は、昨年3,000試合達成した時のものです) 審判室では一見おおらかで適当そうに見えながらも、実際は誰よりも正義感が強く、仕事に真摯に向き合う姿を、みんな知っています! 僕がプロ1年目、右も左も分からなかった20歳のとき、付きっきりでご指導いただきました。 プロの審判としての姿勢や心構え、そしてプロとして『お金をいただく意味』まで、丁寧に教えてくださったことを今でも鮮明に覚えています。 当時僕は20歳で、世の中のことを何も分かってもないのに、丁寧に教えていただき、本当に感謝しています。 あの時の学びが、今の自分を作ってくれています。 笠原さんは、僕にとって間違いなく『師匠』です。 僕は今でも、笠原さんこそNPB審判部のトップに立つべき存在だと思っています。 引退された後も、若手の指導や、新設されるリプレイセンターの役職?など、また違った形で審判界を支えてくださる気がしています。 そして、また飲みに連れていってください! 休肝日は『ビール1杯までOK』という謎ルールや、ある程度飲むと、黙って水を入れても、焼酎のロックを入れても同じペースで飲む姿を見て楽しんでました! 笠原さん、本当にお疲れさまでした。
坂井遼太郎497,280 views • 9 months ago

【気になる3回目の牽制】 僕は元審判なので、映像を見る時におそらく皆さんと少し違った部分が気になってしまうのですが、この映像では『3回目の牽制』が少し気になりました。 注目してほしいのは『投手の左足』です! 投手が投手板を外さずに牽制を行う場合、送球する塁に対して『直接踏み出す』必要があります。 ここで見るポイントは、大きく2つあります! ■ 牽制で大切なのは『方向』と『距離』 まずは必要となるのは『方向』です。 これは、踏み出した足が本当に牽制する塁の方向に向かっているかどうかです。 この方向については、正確には1塁側、3塁側の角度から見ないと判断が難しい部分があります。 映像だけを見る限りでは、方向についてはおそらく問題はないように見えます。 もう一つが重要となるのが『距離』です。 ボークを判定する一つの目安として『一足超』以上の踏み出しがあるかどうかを見ます。 1回目、2回目の牽制については許容範囲に見えました。 ただ、3回目の牽制については、踏み出しの距離が少し足りていないように感じました。 ■ 本気で走者を刺しに行く時ほど起こりやすい これは、本気で走者を刺しに行った時ほど起こりやすい動きです。 少しでも早く回転して、早く送球しようとすると、どうしても踏み出す距離が短くなることがあります。 その結果、牽制として必要な『踏み出しの距離』が不十分になってしまうケースがあります。 ■ この判定はどこから見やすいのか 踏み出しの距離については『球審』と『二塁塁審』からしか確認できない部分となります。 ただ、球審はその後の投球判定なども控えているため、実際には『二塁塁審』の方が確認しやすいです。 もちろん、この映像には角度があります。 そのため、これだけで『絶対にボークだった!』と断定することはできません。 ただ、元審判の感覚で言えば、おそらくこの試合後の審判員の反省会では、かなり高い確率で『あの牽制怪しくないか?』との議題に上がるプレイだと思います。 ■ 審判員はこうしたプレイも共有している 審判員は、試合が終われば毎試合反省会を行います。 判定が大きく取り上げられた場面だけではなく、今回のような細かい牽制動作についても、必要があればすぐに全審判員に共有されます。 むしろ多くの方が気が付きにくいプレイほど議論し、細かく共有されています。 そして、次に同じような動きがあった時に、より正確に判定できるよう準備していきます。 ファンの方が見ている以上に、審判員はこうした細かいプレイも日々確認していることを知っていただけると嬉しいです!
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